
4 静岡県の製造業
製造品出荷額全国4位のモノづくり県
静岡県の製造業を概観すると、平成25年の事業所数は10,037事業所で全国5位、従業者数は38万8,877人で3位、製造品出荷額等は15兆6,991億円で4位に位置する。(図表1)東北6県(合計15兆7,788億円)と同規模であり、本県は全国有数の“モノづくり県”といえる。
業種別では、「輸送用機械器具」(4兆4,142億円、全国シェア28.1%)が最も大きく、次いで「電気機械器具」(1兆8,102億円、同11.5%)、「化学工業」(1兆6,327億円、同10.4%)など、加工組立型製造業が主力となっている。(図表2)輸送用機械では、スズキ、ヤマハ発動機といった完成車メーカーが県西部地域に生産拠点を構え、これを支える部品メーカーが集積する。電気機械でも、大手メーカーの完成品工場が立地し、加工組立や部品生産を担う中堅・中小製造業者も多い。
特化係数から本県の特徴をみると、最も係数が高いのは「飲料・たばこ・飼料」(2.3) で、「電気機械器具」(2.2)、「パルプ・紙・紙加工品」(2.0)と続く。飲料・たばこ・飼料については茶や清涼飲料が、パルプ・紙・紙加工品は、富士・富士宮地区で衛生用紙や板紙の生産が盛んである。一方で、「その他の製造業」に含まれるピアノやプラモデルのように、小規模だが圧倒的な世界シェアを誇る業種も本県にはある。
海外生産の拡大などで出荷額は低迷が続く
近年の動向をみると、製造品出荷額等はいまだリーマン・ショックが起きた平成20年の水準の8割強にとどまる。(図表2)24業種中22業種がマイナスで、特に基幹産業の輸送用機械(20年比△ 19.6%、寄与度△ 5.6%)や情報通信機械(同△ 58.4%、△ 2.9%)の落込みが響いている。
こうした状況下、本県製造業が持続的に発展していくためには、次世代産業を育成していく必要がある。民間企業は医療・福祉機器やロボット、航空宇宙などの成長分野に経営資源を集中するとともに、行政は効果的な支援を講じるなど、全県を挙げた産業振興への取組みが求められる。